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技術紹介 2026.07.03
介護施設の熱中症対策・義務化に向けた「施設・建物の環境整備」
近年の猛暑により、高齢者施設や介護施設では熱中症対策の重要性がこれまで以上に高まっています。
特に高齢者は体温調節機能や暑さを感じる感覚が低下しやすく、熱中症が重症化するリスクが高いとされています。そのため、介護施設では利用者の安全確保はもちろん、職員が安心して働ける環境づくりも重要な経営課題です。
さらに、2025年6月1日から改正労働安全衛生規則が施行され、一定条件下での職場における熱中症対策が事業者の義務となりました。
介護施設でも職員が高温環境で業務を行う場合には、法令に基づいた体制整備が求められます。
本記事では、介護施設における熱中症対策のポイントと、設備対策だけでは解決できない「建物・施設環境の改善」について解説します。
介護施設で熱中症対策が重要な理由
介護施設では、利用者の多くが高齢者であり、一般成人と比較して熱中症のリスクが高いとされています。
高齢者は、
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暑さを感じにくい
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発汗機能が低下している
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のどの渇きを感じにくい
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持病や服薬の影響を受けやすい
といった特徴があり、室温が高くなっても体調変化に気付きにくい場合があります。
また、介護職員も、
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入浴介助
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移乗介助
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調理業務
-
リネン交換
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清掃
など身体を動かす業務が多く、夏場は熱中症リスクが高まります。
施設全体の温熱環境を適切に管理することは、利用者・職員双方の安全を守るために欠かせません。
2025年6月から職場の熱中症対策が義務化
2025年6月1日に施行された改正労働安全衛生規則では、一定条件下での作業について、事業者に熱中症対策が義務付けられました。
対象となるのは、
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WBGT(暑さ指数)28℃以上
-
または気温31℃以上
の環境下で、
連続1時間以上または1日4時間を超えて行うことが見込まれる作業です。
介護施設では、入浴介助や厨房業務、洗濯室、機械室など、高温環境となる場所での作業が該当する場合があります。
事業者に求められる対応
改正規則では、事業者に対して次のような対応が義務付けられています。
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熱中症のおそれがある職員を早期に発見・報告する体制の整備
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熱中症発生時の対応手順の策定
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作業者への周知・教育
これは「熱中症が発生した際の対応体制」を整備することを目的とした制度ですが、同時に、熱中症が発生しにくい環境づくりも重要になります。
基本となる熱中症対策
介護施設では、日常的に次のような対策が行われています。
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エアコンによる室温管理
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水分補給・塩分補給の促進
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WBGT(暑さ指数)の確認
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適切な換気
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空調設備の定期点検
-
利用者の健康状態の見守り
これらは非常に重要な取り組みです。
しかし、「エアコンを稼働しているのに暑い」「廊下や共用部がなかなか冷えない」と感じる施設も少なくありません。
エアコンだけでは改善しにくい理由
介護施設では、
-
屋根
-
外壁
-
窓
から大量の日射熱が建物内へ侵入しています。
特に鉄骨造や金属屋根の建物では、夏場に屋根表面温度が非常に高くなり、その熱が建物内部へ伝わることで室温上昇の一因となります。
さらに、熱を持った天井や壁から放射される**輻射熱(ふくしゃねつ)**は、人が感じる暑さを大きく左右します。
そのため、室温が適切でも「暑い」と感じることがあります。
建物の暑さを抑えるという考え方
熱中症対策では、室内を冷やすだけでなく、建物へ侵入する熱を抑えることも重要です。
例えば、
-
屋根からの日射熱を軽減する
-
外壁から伝わる熱を抑える
-
輻射熱の発生を抑える
ことで、建物全体の温熱環境改善が期待できます。
その結果、
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空調効率の向上
-
利用者の快適性向上
-
職員の作業負担軽減
-
電力使用量の抑制
につながる可能性があります。
外遮熱工法による施設環境の改善
建物の暑さ対策として注目されているのが外遮熱工法です。
外遮熱工法は、太陽からの熱エネルギーを建物の外側で抑える考え方であり、建物全体の熱負荷軽減が期待できます。
施設によって、
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建物構造
-
屋根材
-
築年数
-
利用状況
は異なるため、現地調査を行い、それぞれに適した改善方法を検討することが重要です。
熱中症対策は施設経営にもつながる
介護施設では、安全で快適な環境を維持することが、利用者満足度だけでなく職員の働きやすさにもつながります。
さらに、建物全体の温熱環境が改善されれば、
-
空調設備への負荷軽減
-
光熱費の抑制
-
設備機器の負担軽減
など、施設運営の面でもメリットが期待できます。
熱中症対策は、単なる夏場の対応ではなく、利用者と職員双方が安心して過ごせる施設づくりの一環といえるでしょう。
まとめ
2025年6月から、一定条件下での職場の熱中症対策は法令上の義務となりました。
介護施設では、利用者の命を守ることに加え、職員の安全確保や法令遵守の観点からも、計画的な熱中症対策が求められています。
水分補給や空調設備の活用といった基本対策はもちろん重要ですが、建物そのものが抱える暑熱環境を見直すことで、より快適で安全な施設環境づくりにつながる可能性があります。
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